読書感想文


*そしてこの後、誰にも予想できなかった展開に発展していくのである。

*そう、たとえ神であっても・・・



*To Be Continued...



「ふぅ」

何とも言えない余韻を感じながら、僕は読んでいた文庫本をとじた。

下校のバスの中での出来事だ。

今日、3冊目の文庫本である。

バスは高校から出ていて、最寄の駅まで20分くらいかけて移動する。

そんなバスの中、僕はカバンの中から新たな文庫本を出し、読み始める。

さっき読んでいた本の次巻だ。

この本は面白い。

そう・・・面白いんだ。



僕は本が好きだ。

登校時の電車内、バス内では必ず本を読む。

学校の休み時間にも。

そして家に帰ってからも。

えっ?

なんでって?

それは僕が本が好きだからだよ。

えっ?

どこが好きだって?

どこって・・・・・と、とにかく好きなんだよ。

そう・・・好きなんだよ・・・・・



ある日、

「よし!今日は恒例の『読書の秋の読書感想文』用の原稿用紙ノートをわたすぞ!!」

原稿用紙ノート、それは、普通のノートの中身が原稿用紙になっているもの。

1ページに原稿用紙の半分。

1枚書けば、原稿用紙1枚分になるという代物である。

「11月の最後の国語の授業までに、その原稿用紙ノートに好きな本の感想を好きなだけ書いて来い!!優秀な作品を書いてきたものには、俺が特上寿司をおごってやる!!」

そう、これこそが『読書の秋の読書感想文』の内用である。

国語担当のこの先生曰く、過去の国語教師の代から代々伝わっている行事らしい。

僕は今回もその『原稿用紙ノート』をしぶしぶ受け取った・・・



その日も本を読んでいた。

そう、あの文庫本の続きを。

何で読んでるんだって?

それは、この本が好きだから。

どこが好きだって?

それは・・・好きだから好きなんだ。

好きだから・・・



家で僕は『原稿用紙ノート』と、にらめっこをしていた。

原稿用紙ノートには、題名と氏名、そして1行だけ書かれた文がある。

『面白かった。』と。

えっ?

何でそれだけしか書かないんだって?

だって・・・面白かったから・・・

ただ・・・面白かったから・・・



僕は『原稿用紙ノート』に書く言葉を思いつかない。

1行分しか思いつかない。

『面白かった。』

『つまらなかった。』

『まあまあだった。』

このどれかだ。

それしか思いつかないから。

それしか書くことが無いから。

それが・・・すべてだから。

本の・・・そして僕の・・・・・



『原稿用紙ノート』の提出日。

僕の、1行しか書かれていない『原稿用紙ノート』の。

今日も僕は本を読んでいる。

あの本の続きを。

この巻はかなり長い。

並の文庫本の3倍近くページがある。

それでも僕は、ようやく『End』と書かれている部分まで読み終わった。

しかしまだ、続きがあった。

『あとがき』である。

今までの巻には無かったのに、この巻にだけあった。

僕はあとがきを読み始めた。

*と、いうわけでようやく完結しました。

*この本を読んだあなたは、いったいどういう感想を持たれたでしょうか?

*もし、楽しんでくれていればありがたいです。

*それが一番重要なことでしょうから。

*でも、出来ればそれだけであってほしくはないです。

*この本で出てきた、1文、1行、1文字に、何かを感じとってほしいのです。

*もし、何も感じとってもらえてなければ、私は小説家として失格なのかもしれません。

*だって、本というものは『そういう』ものなのですから。

*まぁ、堅苦しい言葉はここまでとして・・・終わった〜!!

*長い間続いたこのシリーズもようやく完結!長い間ご購読ありがとうございました!!

*私はこのシリーズを書いていて、一度も『疲れ』というものを感じなかった・・・と、思います。

*書いていて、とっても楽しかったんです。

*もう、寝る暇を惜しむくらいに。

*でも、その楽しかった日々も、一時休戦になってしまいます。

*新作を思いつくまでは。

*でも、その間もこのシリーズを読んでくださっている人がいる。

*そう思いながら新作を考えたいと思います。

*本当に今までこのシリーズを読んでくださってありがとうございました!!

*P.S シリーズの途中から読んだ方がいらっしゃいましたら、ぜひ全て読んでみてくださいね♪

・・・僕は・・・泣いていた。

自分の・・・ある種の『未熟さ』に・・・・・



学校に着いて、僕は、原稿用紙ノートに命を吹き込み出した。

書ける。

書ける!

書ける!!

何故かわからないけどすらすら書けた。

いや、きっとあの本の・・・あのあとがきのおかげだろう。

あのあとがきが、僕を変えた・・・んだと思う。

自分ではよくわからない。

でも、あの自然と流れてきた涙が、何よりもの証拠だろう。

国語の授業までの、数分の時間で、僕は原稿用紙ノート5枚分を書き上げた。

原稿用紙5枚分だ。

2000文字、少ないようで長いその文字数。

僕にとってはまだまだ長い文字だった。

でも、いずれ僕にもこの文字数が短く感じるときが来るかもしれない。

いや、きっと来るだろう。

僕は、本が好きなのだから・・・・・



End